大学時代編② 好きだった店
2022.03.09
精華大学へ入学し、ほどなくして下宿をはじめた。はじめて住んだのは二軒茶屋のボロアパートだった。自転車や原付であちこち走り回って街を探検し、すぐに京都が好きになった。気づけばこの19歳の頃から20年以上、ずっと京都で暮らしている。それも北大路より南には住んだことがなくずっと洛北エリア。ただ「京都人」を名乗るには、まだまだ孫の代までかかるけど(笑)。
19歳当時、北山にあった「ビレッジヴァンガード(ビレバン)」が大好きだった。当時のビレバンは今のような雑貨メインのお店ではなく、サブカルチャー発信基地のようなお店だった。音楽、文学、アート、漫画、映画、その他ありとあらゆるサブカルチャーが黄色い手書きのポップで紹介されていた。当時は今ほどネットが発達しておらず、まして高校あがりの自分は本当に狭い世界のことしか知らなかった。そんな自分にはビレバンがとても刺激的で、「ここで紹介されているものを全部吸収したい」と思った。近くに住んでいたので毎日のように通い、隅々まで見て回った。
そんな大好きだった昔のビレバンだが、今の八百屋でも参考にしていることがある。それはあの特徴的な暑苦しいほどの黄色い手書きポップ。今思えば、ビレバンにおいてあるものは他のお店でも買えるものだった。しかしあのポップに「これ絶対聴いてくれ、人生変わるから!」と書いてあることによってここで買いたいという気持ちなった。単なる商品スペックの紹介ではなく、セレクトした人の生の言葉や熱量が伝わってくるポップ。そんなポップをワンドロップでも目指したいと思っている。
野菜なんてどこでも買える。それでもここで買いたいと思っていただくためには、作り手の想いはもちろん、セレクトした僕らの気持ちもいかにそこにのっけるかということも大事だと思う。どうせ買うならワンドロップにしとくか・・と思ってもらえるかどうかは、ポップの暑苦しさが決めてになるかもしれないのだ。ワンドロップのポップはお客様からよく褒めてもらえる。時々野菜に対してポップがでかすぎたり、想いが先走りすぎて文章長すぎて価格ちっさ!みたいなポップもあるけど(笑)。まあそれもご愛敬ということで・・。
作り手の想いを伝える。そしてその作り手の想いに共感している僕らの気持ちも伝える。そんなポップを目指してこれからもめんどくさがらずに続けたい。