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大学時代編⑥ 有機農業夏合宿

2022.03.15

大学時代編

20歳の夏、三重県にある「愛農高校」の有機農業を学ぶ夏合宿に参加した。若い同世代の人に会えるかなとわくわくしながら参加したのだが、参加していたのはほとんど親世代の人だった。同世代の男子は一人もおらず、大学生の女子が二人だけだった。相部屋で、7~8人くらいで大きな部屋で雑魚寝で過ごすのだが、おじさん達の中に俺一人だけか・・とちょっとショックだった(笑)。

朝は確か6時起床でまず体操からはじまる。朝食は玄米とみそ汁。その後講義や実習が夕方まで続く。自由に外出もできないしお菓子も食べられない(笑)。正直、結構大変なところにきてしまったなと思った。それまではオーガニックに傾倒していたとはいえ、まだまだファッション、カッコつけでやっていた部分があった。それがいきなりガチガチの有機農業の本流ともいうべきところに来てしまい、考えが甘かったなと思った。参加している人は、脱サラして本気で就農を考えている人が多かった。僕のように「自分探し」みたいなノリで参加している人は少なかったように思う。

それでも数日経てばだんだんと慣れてきた。そして同世代の女子二人とは仲良くなり実習などでは一緒に過ごし楽しかった。実習では近隣の有機農家さんのところへ手伝いに行った。どんな作業をしたのかはあまり覚えていないが、夏だったし虫がすごいな・・と思ったことだけは覚えている。またお手伝いにいった農家さんの暮らしが、正直かなり大変そうだなと思った。それまでは、頭でっかちに有機農業が大切だ、環境問題を解決しなければいけないと何も知らずに思っていたが、現場のリアルでディープな世界を知った。

講義は専門的な話は難しくついていくのが大変だったが、かなり盛沢山の内容でいろいろな講師の方が来られていた。精華大学の槌田先生や、京都大学の西村先生も講義に来られていた。その時はまだその先生方がどれだけすごい方かということをわかっていなかった。後にワンドロップで販売することにな岐阜のハム屋さん「ゴーバル」の方も畜産の講義で来られていた。その時の印象をうっすらと覚えていて、それから10数年後、ハムを扱おうと思った時に思い出して調べて連絡をした。今ではワンドロップの大人気商品になっている。

とある授業では自然農法についての講義があった。肥料も農薬も使わない自然農法。凄いな!と思ったが、素朴な疑問として「自然農法で世界の人の食料を賄えるんですか」と質問した。すると「そういう質問はあまり意味がないです。」といったことを言われちょっとショックだったことを覚えている。

同じ部屋のおじさん達ともだんだん仲良くなった。島の名前は忘れたが瀬戸内海の離島から来られている方もいて、この合宿の後数か月後に訪ねて行ったこともある。いろいろな人生があるんだなと思った。

そんな盛沢山の夏合宿。頭でっかちの20歳はほんのすこーしだけ逞しくなれたのかもしれない。今思えば後の人生の考え方にも仕事にもつながる、貴重な体験をした10日間だった。

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