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生い立ち編⑤ 吹奏楽部へ

2022.03.02

生い立ち編

中2の春、新学期が始まった。僕の中学校では新年度の始めに今年所属する部活を所定用紙に書いて提出しなければならなかった。中1はバスケ部だったので、普通ならそのままバスケ部と書いて提出すればよかったのだが僕は大いに迷っていた。吹奏楽部に入りたい・・・でも恥ずかしい・・と。ビートルズに感化されて膨らんだ音楽への憧れだけが理由ではなかった。当時好きだった女の子が吹奏楽部にいたから、というのが本当の理由だった(笑)。その子とはまともに話したこともなくクラスも別だった。だからまず友達になりたかったのだ。

そして部活動届提出の日、まだ迷いに迷っていた。結局教室では提出できず、意を決して「吹奏楽部」と書きその後先生を追いかけて職員室の前でお願いします!とギリギリで渡した。ついにやった・・俺は決めたぞ・・とたったこれだけの決断が当時の中2の自分にとっては一大事だった。それでも一人で途中入部するのは心細く、クラスメイトのちょっと変わり者でお調子者の友達を半ば無理やり誘って、二人で加入することに。

後日、吹奏楽部の顧問の先生に二人して呼ばれた。ここの吹奏楽部は先生がとても熱心なことで有名で、県大会、全国大会を目指していた。先生はウッキウキの嬉しそうな声で「本当に入ってくれるの!嬉しい!」といった感じで大歓迎してくれた。途中入部でも全然問題ない、練習すれば大丈夫だと不安な気持ちも慮ってくれた。吹奏楽は、人数がある程度多いほど迫力ある演奏ができるため、部員が増えることは歓迎される。特に男子は数が少なく重宝された。組織のパワーバランス的に男子もある程度いる方がいいという面、馬力の必要な楽器は男子の方が向いているという側面があった。うだつの上がらないバスケ部員だった僕は、自分を必要としてもらえていると感じて嬉しかった。

そして迎えた入部の日。並みいる先輩方の前で挨拶をした。自分は緊張して何を話したのか覚えていないが、友達は全く物おじせずに「○○です!好きな食べ物は桃です!!」と聞かれてもいないのに堂々と宣言し周囲を唖然とさせていた(笑)。凄いやつだな・・と思った。とはいえ突然やってきた途中入部の男子2名は先輩からも同期からも歓迎された。吹奏楽部の同期には他に男子2名がいた。この4人で中学時代はいつも一緒に過ごし、青春を分かち合った。今でも年に何度かは連絡を取り合い、数年に一度は飲み明かす関係が続いている。少しの勇気を出して吹奏楽部へ入ったことで、人生唯一の友達と呼べる仲間ができた。

そして好きだった女の子とも友達になることができた(笑)。「ナイフを持って立ってた(もちろん本当にはもっててない。気分だけ笑)」中二病は少し和らぎ、恋に部活に前向きになりようやく僕にも青春らしい日々がやってきた。

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