開業準備編③ 東京視察旅行
2022.02.17
中央市場のアルバイトを3月末でやめ、開業は5月の連休明けあたりにしようと決めた。
お金も無いし、あまり時間をかけていられなかった。
妻の遼子とは当時からお付き合いをしていた。妻は当時、お酒の量販店に勤めていた。しかしオーガニック志向で、将来的には農業か八百屋か料理店をやりたいと考えている人だった。だから気が合った。妻も八百屋をやる気満々だった。立ち上げからずっと二人でいろいろなことを考え、進んできた。たまたま家が近かったこともあり、毎日のように一緒にご飯を食べながら立ち上げる八百屋についてあれやこれやと夢を語り合った。そんな時、妻が東京に行っていろいろなお店を廻ってみたいと言った。オープンしたら忙しくなるし、今しか行ける時ないよね、よし行っていろいろ勉強しようと東京に行くことを決めた。お金と時間を節約するため移動手段は夜行バス一択だった。
夜行バス⇒1泊⇒また夜行バスというスケジュールで丸2日いろいろと見てまわった。老舗の自然食品店や大型のオーガニックスーパー。ただどこを見ても、野菜が元気いっぱいという感じがあまりしなかった。本当におこがましいことこの上ないのだが、その時の僕らの感想は、「よし、勝ったな」だった(笑)。勝負の土台にすらまだあがれてもいないのに、まったく謎の根拠のない自信だけがあった。世間知らずの若者だった。
その当時の僕たちが、自分たちがやりたい八百屋のイメージとしてこびりついていたのが、外国のマルシェの写真だった。木箱やかごに色とりどりの野菜が無包装でモリモリと陳列されていて元気いっぱい。値札も黒板でなんかおしゃれな感じ。こんな八百屋を日本でもやりたい!できる!そう思っていた。そのイメージに近いお店がなかったから、「よし勝った」という感想になってしまった。しかし今ならわかる。野菜を毎日毎日、モリモリ元気いっぱいに新鮮に山積みにするのがどれだけ大変か・・。野菜を売ってもなかなか儲からないし、冷蔵ショーケースで売れる量だけ置いておこうというのが普通だ。この頃は、野菜を売る大変さをまだ全く理解できていなかった。