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野菜の値段

2019.08.15

考え方

一般的に、有機野菜(有機JASに限らず、農薬不使用野菜をここでは指す)は高い。

なぜ慣行栽培より高いのか。

農薬や化学肥料を使わないことによる収穫量の減収。虫や病気によるリスク増加。

除草剤や化学肥料を使わないことによる、重労働化(手で除草する、重たい堆肥や有機肥料を使う等)。

安心・安全という優良イメージ。

環境への負荷が少ないという価値。

味や品質面の良さ。

有機JAS認証を取得しているものならば、その取得コスト。

有機野菜は市場外流通が中心であるため、物流が整備されていない。物流コストが市場流通に比べて非常に高い。

小規模農家、少量多品目栽培の場合が多いため、単一品目栽培の場合よりも割高になりやすい。

ざーっと雑にあげると、上記のような理由で有機野菜は一般野菜よりも販売価格が高くなっている。一応業界のはしくれだから、そのあたりのことは重々に理解している。

でも本当に有機野菜を社会のスタンダードにしたいなら、一般庶民が買えるような価格でなければ絶対に広まらない。有機野菜の価格は消費者にとって決して安くない。

例えば家族4人で共働きで世帯年収600万だとする。暮らしには困らない家庭でも、年金やら税金やら住宅ローンやら養育費やら、食費にかけられる金額は限られている。子供のためにはいい調味料も使いたい、いいお米も食べさせたい、いいパンも食べさせたい、いい肉も食べさせたい、添加物も気になる、、という意識の高い家庭だとしても、老後のために貯金もしないと、、たまには小旅行もしたいし、、ささやかな趣味のお金も使いたい、、車のローンもあるし、、と何かと出費はかさむ。食の意識の高い家庭であっても、野菜も肉も魚も調味料もパンもお菓子も・・と全部こだわるのはかなりきつい。何かを我慢して、ここはやっぱり譲れないというところにみんなお金を使っているのだと思う。ほうれん草200円、たかが200円ではない。

スーパーの「有機野菜コーナー」で、萎れた野菜が目玉飛び出るような値段で売られている時がある。ああいうのはとても売る気があるようには思えない。ただ広い青果売り場の一角を埋めたい、有機コーナーを作っておけばなんとなく差別化できると思っているだけで、そういう売り方をされている有機野菜では絶対に広まらない。

日本人の6割くらいが、生活が苦しいと感じていて、貯金のない世帯が4割らしい。日本人は今お金持ちではない。特にアラフォーの、ロスジェネ世代。自分もまさにこの世代だから、いろいろ腹の立つことはあるけど急に社会が変わるわけではないし、急に日本が金持ちバブリーになる見込みはない。高齢化でますます負担が増えていく。

だからワンドロップではできるだけ買いやすい値段設定にしたいと思っている。有機野菜を特別なものではなく普通の日常に食べてもらえるように。だから薄利多売を目指す。量を売って一個あたりの単価を下げることに常に挑戦し続けていきたい。量を売ることをあきらめない。1ケースなら1500円、3ケースなら1200円になるなら多少無理してでも3ケース仕入れてみる。陳列やポップを頑張って売り切る。そういう攻めの姿勢でいかなければ、なかなか野菜は売れない。

失敗して落ちこむこともあるが、攻めの姿勢で失敗したことは仕方ないと考える。と自分に言い聞かせている。

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