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店づくり

2019.06.19

八百屋について

お洒落な八百屋と言ってもらえることがある。それはそれで嬉しいのだが、自分としてはお洒落八百屋だとは全く思っていない。お洒落な店ならもっと他にたくさんある。うちはむしろお洒落になりきれない店だと思っている。

素晴らしい建築家の方に設計をしていただいたので、内装、外装はとても素敵にしていただいた。そこには自分たちの夢や理想が詰まっている。それが店の雰囲気の根幹を作り、普通の店とはちょっと違うということを無言のうちにお客さんにアピールしてくれている。

でもその一方で、自分的には「お洒落にしすぎない」「高級にしない」ことはかなり意識している。お洒落すぎると、特にこの京都市北区という、どちらかといえば保守的な町では受け入れてもらえない。また比較的裕福な世帯が多いエリアだが、価格には非常にシビア。デパートや高級スーパーと同じ値段ではまったく買ってもらえない。そういうことを店を続けるうえで肌で感じてきた。

お洒落すぎることによって、「なんか入りにくい」「高そう」「こだわり強すぎて合わなさそう」など、お客さんのなかにハードルができてしまう。高級な美容室や洋服屋なら、あえてそういうハードルを作って、特別感を出さないといけないのでそれでいいのかもしれない。でもうちはあくまで町の八百屋、特別な日の店ではなく日常の買い物の店。扱っているものが生鮮という特性上、とにかく目の前の人、近所の人に買ってもらって商品の回転を良くしていかないといけない。

そんなわけで、極力お洒落になりすぎないように、あえて脱力感というか庶民感を入れるようにしている。例えばポップ。黒い紙に白いペンでスラっと雑貨屋風にお洒落にポップを書いていたこともあったが、今では黄色い大き目の紙にデカデカと赤いマジックで「本日のセール!」とか「特売!」とか書いて町の八百屋感を出している。また価格も有機栽培やこだわり栽培のものだからといって高付加価値野菜として高く売るのではなく、あくまで日常的に食べてもらえる価格帯、スーパーよりちょっと高いくらいに抑えている。こだわり系だけでなく、市場で安く仕入れることができた果物なんかは特売にして、コンテナひっくり返して店の外に山盛りに陳列して薄利多売。

そうした全然スタイリッシュではない非おしゃれ感がなんとなくワンドロップらしいと思っている。お洒落な店を演じなければ・・というのはすごく疲れる。若いころはカッコつけたい気持ちももちろんあったが、今となってはかなりどうでもよくなっている(笑)。等身大で、ありのままの自分でいれる方が自分としても仕事をしていて楽だ。

以上、お洒落になりきれない店のいいわけでした。

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